今回はこのような疑問に答えます。
まずはコーヒーに関する経験値をお伝えします。
・コーヒー豆焙煎(2019年2月~)
・コーヒーマイスター取得(2021年1月)
私は現在、コーヒースタンドの開業を予定しております。
コーヒー豆の焙煎回数はおよそ400回以上。
現在はコーヒー豆の販売をオンラインストアにて販売中です。
コーヒー生豆については独学で勉強を重ねて、自身でコーヒーの生豆を選定しています。
パルプドナチュラルとハニープロセスの精製過程はとても似ています。
それは収穫したコーヒーの実の果肉を、乾燥させる前に削ったり、すべて取り除いたりする精製方法であってどのような点が大きく違うのかを紹介しているメディアはほとんどありません。
今回はコーヒーマイスターの習得過程で勉強した内容をもとに、パルプドナチュラルとハニープロセスの決定的な違いを解説します。
読むメリット
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- パルプドナチュラルとハニープロセスの違いがわかる。
- パルプドナチュラルとハニープロセスの工程がわかる。
- パルプドナチュラルとハニープロセスで有名な産地が分かる。
それでは解説します。
パルプドナチュラルとハニープロセスの違いとは?
パルプドナチュラルとハニープロセスの違いは「目的」にあります。
パルプドナチュラル:未熟な実を取り除く
パルプドナチュラルは未熟豆を取り除くために考案された製法です。
ナチュラル製法とほぼ同じなのですが、違いはコーヒーの実を乾燥させる前に、果肉をはぎとる工程が入ります。(これはナチュラル製法を取り入れてる生産国で採用されています。)
ナチュラル製法を導入している国で機械を使ってコーヒーの実を収穫している場合は、まだ熟していない未熟豆が混入しやすい傾向にあります。(選別をしないで収穫されてしまうため。)
そこでコーヒーの実の果肉を取り除くパルパーという機械をつかうことで未熟豆を取り除くことができます。(パルピングと呼ばれます。)パルパーを使うことで成熟したコーヒーの実の果肉を取り除くことができますが、熟してない実は果肉が取れずに排出されます。
【パルピングの様子】
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パルプドナチュラルにおいては、欠点豆を取り除くことを目的にパルパーを使用しています。
ハニープロセス:味の向上と風味の形成など
一方でハニープロセスはコーヒーの風味を向上させるために考案された製法です。
ハニープロセスでは、収穫されたコーヒーの実を天日干しにする前に、果肉を削り、ある程度果肉を残したままので状態で乾燥させます。
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このように、パーチメントと呼ばれる内殻に果肉が付着したまま乾燥させることで、独特なコーヒーの風味が形成されます。
コーヒーの実の果肉をどれだけで削るか、残すかで名称が異なります。
「何パーセント残すと、〇〇ハニーになる」というよりは、乾燥した後の色味で名称を決めているようです。
ハニープロセスは味の向上と特有な風味の形成を目的として考案された製法で、未熟な実を取り除くパルプドナチュラルとは目的が異なります。
味には違いがある?
どちらも製法としてはとても似ていますが、味にはどのような違いがあるのでしょうか?
パルプドナチュラル
クリーン(きれいな)味。
正直なところ、飲んでみて「パルプドナチュラルだな」と分かるほど大きな特徴はありません。
とはいえ、パルプドナチュラルは熟していない実が取り除かれるため、欠点豆が少なめ。そのため、クリーンな味わいに仕上がります。
ハニープロセス
ワインのような印象。
一方でハニープロセスについては、ブラックハニーからホワイトハニーまでどれほど果肉を残したかで味の印象が大きく変わってきます。
ブラックハニーは赤ワインのような印象です。それに比べてホワイトハニーは若干あっさりとした印象です。
果肉が付着した状態で乾燥させることで、発酵がすすみワインのような余韻が残る味に仕上がります。
※いずれも農園よって味は異なりますので一概には言えませんが、上記のような傾向があります。
パルプドナチュラルとハニープロセスの生産国は?
ここでパルプドナチュラルとハニープロセスで有名なコーヒーの生産国をご紹介します。
- パルプドナチュラル:ブラジル
- ハニープロセス:コスタリカ
詳しく解説します
ブラジル
パルプドナチュラルを採用している生産国はブラジルです。
ブラジルは下記のような特徴があります。
- 「広大な敷地があり、大規模農園が多い。
- 起伏は激しくない。
広大な敷地でコーヒーの木を育てており、土地柄起伏も激しくないので大型機械を使ってコーヒーの実を大量に収穫します。そのおかげで熟してない実も多く混じります。
【大規模農園の様子】
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これらの成熟していない実を取り除くためにパルプドナチュラルという製法が生まれました。
コロンビアなど起伏が激しい生産国ではコーヒーの実の収穫は、人の手によって行われます。 そのため成熟した実だけを収穫することができるので、パルパーにかける必要がありません。
ブラジルのような広大な敷地でコーヒー豆を育てて大量に収穫するような国において特徴的な生成方法です。
コスタリカ
ハニープロセスはコスタリカが有名です。
コスタリカは国土が狭い故に、コーヒーの品質向上に力をいれてます。
その取り組みの一つとして、小規模なウォッシングステーション(豆の精製所のような場所)を設置して、小規模農家が独自に収穫したコーヒーの実を生成できるようになりました。それぞれの農家で独自の取り組みを行なっています。
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スペシャルティコーヒーを数多く扱う自家焙煎の店では必ずと言っていいほど、コスタリカのコーヒーを取り扱っており、多くがハニープロセスのコーヒーです。
※もしスペシャルティコーヒーの店にいく機会があれば是非コスタリカを探してみてください。
まとめ
パルプドナチュラルとハニープロセスは似ていますが、一つ大きな違いがあります。
- パルプドナチュラル:熟していないコーヒーの実を取り除く製法
- ハニープロセス:独特な風味を作るために、果肉を削る製法
いずれもやっていることは非常に似ていますが、目的が違います。
これを意識しておくとコーヒーの選び方や、味の感じ方も大きく変わってくると思います。
今回は以上です。