今回はこのような疑問にお答えします。
「生焼け」したコーヒーというのは実際にはどのようなものなのでしょうか。
そこで実際に生焼けコーヒーを焙煎し、
今回このような内容をお伝えします。
まずはコーヒーに関する経験値をお伝えします。
・コーヒー豆焙煎(2019年2月~)
今まででおよそ40,000gを焙煎。
回数にして200回~400回は焙煎をしました。
これまでの経験からお話しします。
コーヒー豆の焙煎における生焼けとは?
コーヒーが生焼けしている状態は下記のような特徴がありました。
- 見た目では判断できない
- 中心部が硬い
- 香りが不十分
- 渋みとシャープな酸味
順番に解説します。
生焼けとは芯まで火が通ってないこと
生焼けとはコーヒー豆の芯まで火が通っていない状態を示します。
コーヒー生豆はクロロゲン酸という成分を含んでおり、
焙煎の過程でコーヒーらしい風味を形成していきます。
ただし、適切な焙煎がされていないとクロロゲン酸が分解され
渋みと酸っぱさが強めなコーヒーになってしまいます。
つまり、コーヒーの成分がしっかり精製されないまま焙煎をとめてしまうことで味が不十分になっている状態です。
生焼けコーヒー豆の特徴
ここで実際に生焼け状態のコーヒー豆を焙煎してみました。
実際に生焼けコーヒー豆を使って特徴について解説します。
生豆:グアテマラSHB 50g
使用器具:アウベルクラフト焙煎器
・火力は最大
・生豆投入後、3分で1ハゼ
・1ハゼ後中火にして1分30秒後に
・1ハゼ終了後1分後に煎り止め
生焼けコーヒーの見た目
まず見た目に関しては大きな違和感はありません。
今回は中煎り程度で煎り止めしましたが、色合いもいたって普通です。
生焼けコーヒーの硬さ
実際に焙煎してみて気づいたのですが、
同じ色合いの豆と比べると硬く、中心部はなかなか割れません。
また、割ってみると2層になって割れるケースが多いように感じます。
生焼けコーヒーの香り
生焼けしたコーヒーは香りをあまり感じられません。
実際にカッピングをしてみたのですが、
ブレイク時にはコーヒーの香りは感じられませんでした。
コーヒーの香りを形成している成分については
加熱していく過程で形成されていきます。
300種類以上の香りが織り交ざって
独特なコーヒーの香りができるのですが、
時間が短ければ形成されていないようです。
生焼けコーヒーの味
キーンとしたシャープな酸味と
長く続く渋みとえぐさを感じました。
全体を通して良い印象はなかったのですが、
簡単に飲めるような味ではありませんでした。
全体的に上記のような印象があります。
コーヒー豆の焙煎においてなぜ生焼けが起きるのか?
生焼けがおきる原因として考えらえるのは下記のようなもの。
- 急な加熱
- 不十分な水抜き
- 生焼けしやすい生豆
しっかり中まで熱を与えていないということではないかと思います。
原因1:急な加熱
生焼けが起きやすい原因として挙げられるのは、
強火による急速加熱が挙げられます。
生豆は熱が伝わりにくく、木材と同じレベルとも言われています。
短い時間で急激に熱を加えると外側だけが焦げて
中まで火が通りません。
火力は弱火で始めるか、強火でも遠火にして
ゆっくりと熱を加えましょう。
(どれだけ焙煎すればよいのかはこちらで解説しています。)
原因2:不十分な水抜き
生豆の水分がほどよく受けていないと生焼けになります。
生豆はおよそ10%ほど水分を含んでおり、序盤にこの水分をぬいておく必要があります。
前述ような生焼けの味はクロロゲン酸が水分と反応して形成された味です。
水分を十分に抜いておかなければ生焼けになる可能性があります。
原因3:生豆自体が生焼けになりやすい
最後に挙げられる原因としては、
生豆が焙煎するには難しいものである可能性があります。
コーヒー生豆は産地によって色の変化が異なります。
序盤の水抜きの段階が終わって茶色くなったとしても
まだまだ豆自体が柔らかく、水が抜けきっていない場合もあります。
この状態でいったん火力を上げてしまうと外側だけが焼けて
芯残りしてしまいます。
産地によって生豆自体の色の変わり方が
異なることを知っておく必要があります。
コーヒーの焙煎において生焼けを防ぐためには?
生焼けがおきる原因として考えらえるのは下記のようなもの。
- 撹拌しやすい焙煎機を選定
- 序盤での急激な温度変化は避ける
- 焙煎しやすい豆を選ぶ
しっかり中まで熱を与えていないということではないかと思います。
コツ1:撹拌しやすい焙煎器を選定
まず初めに撹拌しやすい焙煎器を選定するところから始まります。
焙煎のコツ
しっかり撹拌して、豆全体均一にしっかり熱を通す!
生焼けを防ぐために大切なことは芯まで熱を与えること。
木材並みの熱伝導率の悪い生豆を芯まで温めるには
撹拌力が高い焙煎機で豆全体の温度を均しながら熱をあたえる必要があります。
そのため、フライパンや手網など振り続けなければならない器具はあまりお勧めできません。
撹拌は可能ですが疲れたら手が止まってしまうからです。
(フライパンで焙煎した感想をまとめました。)
おすすめの焙煎機はこちらで紹介しています。
コツ2:序盤での急激な温度変化は避ける
もっとも重要なことは急激な温度上昇を避けることです。
手網で焙煎する際には火力を強めに設定したうえで
30cm以上の高い位置で熱対流を利用しながらゆっくり豆を温めていきます。
手回しの焙煎機のでは初めに弱火~弱めの中火程度で早めに回し
豆全体の温度を均していくと芯まで温まります。
コツ3:焙煎しやすい豆を選ぶ
焙煎しやすい豆を選ぶのも一つの手です。
例えばこのような特徴がある生豆は焙煎がしやすく
芯まで火が通りやすいです。
- スクリーンサイズが小さい
- 肉厚ではない
- オールドクロップ(収穫されてから2年以上経っている)
私の経験としては
・ブラジルNo.2 17/18
・キューバやドミニカなどのカリブ海系
こちらの銘柄は比較的焙煎しやすいです。
いくつか紹介します。
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エチオピア・イルガチェフG2
エチオピア・イルガチェフは初めて飲むと衝撃を受けます。
口いっぱいに広がる甘さが癖になります。
豆のグレードはちょっと低いですが、
コスパは間違いないとおもいます。
浅煎りがおすすめですが、
深煎りでもおいしいです。(焙煎して1週間後がおすすめ。)
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ブラジル・サントスNo.2 17/18
とてもスタンダードな銘柄。
「とにかく普通のコーヒーで大丈夫!」
という方におすすめ。
ブラジル・サントスNo.2 17/18は
これと言って大きな特徴はありませんが、
「ザ・コーヒー」と言える味。
いろいろ飲んでいるとスタンダードなものが飲みたくなります。
私の場合は常に常備しています。
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ジャマイカ・ブルーマウンテン
最高品質の豆。
輸出前の厳格な審査を通りぬけた豆が
ブルーマウンテンとして販売されます。
審査項目は
・味
・色
・欠点豆の混入率
豆のクオリティは問題はないです。
サイズなどにブレが少なく、比較的焙煎しやすい豆です。
生焼けしなくなれば焙煎は上出来
ここまでまとめてきましたが、
徐々に焙煎を重ねていくと味の違いが分かるようになってきます。
はじめは浅煎りの味だと思って飲んでいても
生焼けの味だと気付くこともあります。
若干価格は高めですがそれ以上の価値はあります。
生焼けしないように焙煎できるようになると
コーヒーらしいしっかりとした味を表現できるようになります。
最初は難しいかもしれませんが、だんだんできるようになります。
ぜひ挑戦してみてください。